福勝寺には太鼓が大小二つありますが、私が入山した時には無かったものです。願いは通じるもので、毎日のお勤めの時に太鼓があればなぁ…といつも思っていましたら、
ある日懐かしい友人から連絡が来て、祖母が亡くなったので、経本などの遺品をお焚き上げして欲しい…とのことでした。
快く引き受けさせていただいて、友人がゴミ処理場に行く直前に立ち寄ってくださいました。
経本やお数珠などあずかっていたら、ふと見ると後部座席に太鼓が乗っていました(笑)
これも捨てるの?とたずねたら、お婆ちゃん家で拝みながら太鼓叩いてたんよって(笑)…奇跡的なご縁で太鼓を譲り受けたのが小さい方です。
大きい方の太鼓は、令和二年五月三十一日に、下関市で譲ってくださる方がおられて、車で迎えに行きました。
今回の主役の太鼓ですが、とても大きくて胴部分に蒔絵のような模様があります。見た目に隙間やヒビなど傷みはありましたが、音は低く太い音が出て、毎日お勤めで使わせていただくことになりました。
しかしやはり皮が緩んでいるのか…胴のヒビが原因しているのか…湿度によって音が変わるし、響きがないような気がして…太鼓の張り替えをしてくださるところを探しました。
どこも高価で、サイズを変えれば新品を買えるぐらいの値段がします…困っていると名古屋の三浦太鼓店さんに行き着きまして、窮状をお伝えしたところ…五代目禰市様が親身になって協力してくださいました。
令和四年六月でうちに来てちょうど二年目にメンテナンスができることになりました。五代目彌市様の初見は、中国から来た桶太鼓で、金具なども日本で一般的に使われているものでは無いから間違いないとのことでした。胴内には墨書は無しということでした。
下関も遠いと感じましたが、更にもっと遠い他国から渡って来たものに…何とも不思議なご縁を感じずにはいられませんでした。
下関から当山に来た経緯と、今回の修復を胴内に墨書していただきました。
これから何十年、何百年と、歴代の住職が大切に使って欲しいと思います。長くなりましたので、次回に続きます…
岩屋山 金剛寿院 福勝寺
⇒太鼓の音色 その2(福勝寺の太鼓から生まれた) につづく